App + Web版GAで分析自動化みたいなバラ色の世界にはならない(後編)【週刊GAフォーラム】
2020/08/17 (Mon) 07:45
GAフォーラム 編集長の衣袋(いぶくろ)です。
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━━━━━━━━━ 2020年8月17日号 コンテンツ ━━━━━━━━━
【コラム】App + Web版GAで分析自動化みたいなバラ色の世界はこない(後)
【お知らせ】9/8カスタムレポート講座、10/8セグメント機能解説講座
【新着情報】8/3-8/16(カテゴリー別)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■■■ 最近の動き・情報などからのトピックス ■■■■■
● App + Web版GAで分析自動化みたいなバラ色の世界にはならない(後編)
前回は、ウェブサイトの改善分析には次のような様々な課題があり得る、というところまでお話ししました。
サイト全体の構造設計最適化、ページ間リンク構造最適化、集客施策の最適化、不足しているページの発見/余計なページの削除、URL名/タイトル名最適化、ページ内コンテンツ配置最適化、ページ内コンテンツの過不足最適化、ページ内コンテンツの表現最適化、ランディング ページ最適化、カートフォームの最適化、各ページ表示スピード迅速化などなど。
それら一つ一つが分析の目的変数になります。そして、それらの成果に関わる要因としての説明変数も別々に多数あります。さらに様々な実際上の制約があります。例えばそれは実行可能な施策なのか、施策のコスト上限もあるでしょう、既に決定済みの実行優先順位がある、などなど。一方で、機械学習はそれらの説明変数の実行組合せを変化させ、優劣を大量に学習しながら賢くなっていく必要があります。これはABCDEFG...多変量テストをしながら、効果を確かめ比較しながら、機械学習させることが必要だと思うのですが、そんなことが半自動でも出来るんでしょうか。
これらのことを考えると、今のところの機械学習の技術では可能だとしても、超巨大サイトでどんなにセグメントを細かくしても、そこそこの量のコンバージョン(目的変数)に結び付く説明変数量でテスト数を確保することは、容易ではないと思うのですが、如何でしょう。
さらに、機械学習で「分類」「予測」「検出」といった作業は出来ても、自動的に「改善提案」あるいは「その実行」までは簡単にはできない、「なぜそうすれば成果に結び付くのか」も示してくれないから応用もできない、というのが現時点での私の理解です。
もちろん「機械学習全否定論者」ではありません。「機械学習」が有効な分野は多数ありますし、実際ネット広告の入札最適化などで大いに活用されているようです。私が言いたいのは、「App + Web版GAの導入で、どんなサイトでも、サイトの利用行動を機械学習を行うことによって、実行可能で効果の期待できる改善施策の提案が、ほぼ自動的にどしどし出てくることが期待できる」という世界は、当面来ない気がする、ということです。もちろん現バージョンのGAの「インサイト」機能でも同じことが言えます。
AI搭載らしいし、これからは確実にこちらが流行るらしいから、みたいな理由で新GAへ移行して失敗して、右往左往するようなことのないように、自分のサイトの場合に実装した場合に、どんなことになりそうなのかをよく考えてくださいということです。もちろんこちらのバージョンが有効なサイトもあるでしょう。
その代わりと言っては何ですが、じゃあウェブサイトのデータ分析と改善施策を出す活動はどうやってするのかという話をしたいと思います。私は「分析の型」と呼んでいますが、サイト利用行動データに即した幾つかの分析パターンをすればいいのです。いろんな人がそういう本を書いてますよね。そういったいろんな分析パターンに基づいて、施策の優劣の差や変化があったら、アラートをあげて修正したり、優れたところを伸ばし劣ったところを減らす、といった当たり前のことをするしかありません。
ウェブサイト分析の半自動化みたいなサービスが現状でもありますが、そういうものは大抵上記のようなことをして、改善効率の良い問題点を効率よく探し出して、指摘してくれているだけです。逆に言うと仕組みは単純なので、そういうサービスの限界は、どのサイトでも同じようなことしか提案してくれない、あるいは、当たり前のことしか提案してくれない、そして、真面目にそれらの提案を実行していけば、有効な提案はいずれ枯渇します。
これを私は「分析の収穫逓減の法則」と言いますが、それは仕方ないです。誰が見ても最初はここがダメだなという部分があるので、大抵は分析初期に大きな改善が発見/実行されます。当然その後はだんだん数値の改善幅が小さい小粒の改善提案になっていくのは必然なのですから。それが分析改善PDCAサイクルの運命なので、そのレベルになったら、KPIの定点観測で異常を察知するだけで十分になります。「分析おたく」にならないようにすることも大事だということです。
話を戻しますが、みなさんはエクセルをお使いだと思いますが、BIパッケージのSASは使ってないですよね。多分利用者数という視点では市場は1/100以下ではないでしょうか。App + Web版GAで分析自動化みたいなバラ色の世界がもし来るとしても、それを十分に活用するためには、全部合わせれば高度で習熟も困難で、かつ、高コストになると思います。技術的にもマーケット的にも、自分に本当に必要なものかどうか見極めて、賢く時間やお金をを使って頂きたいなと思います。
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ディメンションと指標の組合せ別の集計仕様を中心に解説。有料
https://gacus3.peatix.com/
▼ Googleアナリティクス「セグメント機能」徹底解説セミナーを10月8日に開催
セグメント機能の仕組み、動作仕様の詳細を中心に解説。有料、早割は8/24まで
https://gaseg07.peatix.com/
■■■■■ 8/3-8/16の投稿記事や情報(カテゴリー別) ■■■■■
独断と偏見ですが、注目記事には末尾に★を付けました
・・・・・ 公式ブログなどGoogle発信情報 ・・・・・
◆ IAB Transparency and Consent Framework v2 and Google Analytics★
Analytics Help(2020/8)
IABのTCF version 2 対応用のタグについて。
https://support.google.com/analytics/answer/10022331
・・・・・ ウェブ媒体/ブログなどの投稿/記事 ・・・・・
◆ Googleアナリティクス/GTMの高度でおすすめのデフォルト設定★
marketechlabo(2020/8/12)
GTMを利用したGoogleアナリティクスの高度な実装例を紹介。
https://www.marketechlabo.com/google-analytics-advanced-customtask/
◆ 【本当に正確なデータとは?】Google アナリティクスのサンプリング、確認方法と回避方法3つ
e-Agency(2020/8/7)
サンプリングが発生しているか確認する方法と、サンプリングされていないデータを確認する方法。
https://googleanalytics360-suite.e-agency.co.jp/tips_sampling/
◆ Did You Know You Can Find Website Bugs Using Google Analytics?
Your Marketing People(2020/8/5)
サイト内リンクのエラーや特定ブラウザでの問題などを、Google アナリティクスで見つける方法。
https://yourmarketingpeople.com/blog/did-you-know-you-can-find-website-bugs-using-google-analytics/
◆ How to Get All Your Ad Data into Google Analytics
CXL(2020/8/5)
Google アナリティクスへ広告データを取り込む方法。
https://cxl.com/blog/ad-data-google-analytics/
◆ [特徴と違い] Googleアナリティクスのビューフィルタ・セグメント・アドバンスフィルタ★
プリンシプル(2020/8/3)
絞り込む機能のビューフィルタ、セグメント、表フィルタの違いについて。
https://www.principle-c.com/column/ga/compare-google-analytics-filters/
・・・・・ 定点観測/注目データ ・・・・・
◆ 2020年8月16日時点のGoogle アナリティクス利用率は74.1%
uehama's blog(2020/8/16)
定点観測の日本の上場企業を対象にした調査。
http://uehama.blogspot.com/2020/08/816-google-analytics-741.html
以上
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● App + Web版GAで分析自動化みたいなバラ色の世界にはならない(後編)
前回は、ウェブサイトの改善分析には次のような様々な課題があり得る、というところまでお話ししました。
サイト全体の構造設計最適化、ページ間リンク構造最適化、集客施策の最適化、不足しているページの発見/余計なページの削除、URL名/タイトル名最適化、ページ内コンテンツ配置最適化、ページ内コンテンツの過不足最適化、ページ内コンテンツの表現最適化、ランディング ページ最適化、カートフォームの最適化、各ページ表示スピード迅速化などなど。
それら一つ一つが分析の目的変数になります。そして、それらの成果に関わる要因としての説明変数も別々に多数あります。さらに様々な実際上の制約があります。例えばそれは実行可能な施策なのか、施策のコスト上限もあるでしょう、既に決定済みの実行優先順位がある、などなど。一方で、機械学習はそれらの説明変数の実行組合せを変化させ、優劣を大量に学習しながら賢くなっていく必要があります。これはABCDEFG...多変量テストをしながら、効果を確かめ比較しながら、機械学習させることが必要だと思うのですが、そんなことが半自動でも出来るんでしょうか。
これらのことを考えると、今のところの機械学習の技術では可能だとしても、超巨大サイトでどんなにセグメントを細かくしても、そこそこの量のコンバージョン(目的変数)に結び付く説明変数量でテスト数を確保することは、容易ではないと思うのですが、如何でしょう。
さらに、機械学習で「分類」「予測」「検出」といった作業は出来ても、自動的に「改善提案」あるいは「その実行」までは簡単にはできない、「なぜそうすれば成果に結び付くのか」も示してくれないから応用もできない、というのが現時点での私の理解です。
もちろん「機械学習全否定論者」ではありません。「機械学習」が有効な分野は多数ありますし、実際ネット広告の入札最適化などで大いに活用されているようです。私が言いたいのは、「App + Web版GAの導入で、どんなサイトでも、サイトの利用行動を機械学習を行うことによって、実行可能で効果の期待できる改善施策の提案が、ほぼ自動的にどしどし出てくることが期待できる」という世界は、当面来ない気がする、ということです。もちろん現バージョンのGAの「インサイト」機能でも同じことが言えます。
AI搭載らしいし、これからは確実にこちらが流行るらしいから、みたいな理由で新GAへ移行して失敗して、右往左往するようなことのないように、自分のサイトの場合に実装した場合に、どんなことになりそうなのかをよく考えてくださいということです。もちろんこちらのバージョンが有効なサイトもあるでしょう。
その代わりと言っては何ですが、じゃあウェブサイトのデータ分析と改善施策を出す活動はどうやってするのかという話をしたいと思います。私は「分析の型」と呼んでいますが、サイト利用行動データに即した幾つかの分析パターンをすればいいのです。いろんな人がそういう本を書いてますよね。そういったいろんな分析パターンに基づいて、施策の優劣の差や変化があったら、アラートをあげて修正したり、優れたところを伸ばし劣ったところを減らす、といった当たり前のことをするしかありません。
ウェブサイト分析の半自動化みたいなサービスが現状でもありますが、そういうものは大抵上記のようなことをして、改善効率の良い問題点を効率よく探し出して、指摘してくれているだけです。逆に言うと仕組みは単純なので、そういうサービスの限界は、どのサイトでも同じようなことしか提案してくれない、あるいは、当たり前のことしか提案してくれない、そして、真面目にそれらの提案を実行していけば、有効な提案はいずれ枯渇します。
これを私は「分析の収穫逓減の法則」と言いますが、それは仕方ないです。誰が見ても最初はここがダメだなという部分があるので、大抵は分析初期に大きな改善が発見/実行されます。当然その後はだんだん数値の改善幅が小さい小粒の改善提案になっていくのは必然なのですから。それが分析改善PDCAサイクルの運命なので、そのレベルになったら、KPIの定点観測で異常を察知するだけで十分になります。「分析おたく」にならないようにすることも大事だということです。
話を戻しますが、みなさんはエクセルをお使いだと思いますが、BIパッケージのSASは使ってないですよね。多分利用者数という視点では市場は1/100以下ではないでしょうか。App + Web版GAで分析自動化みたいなバラ色の世界がもし来るとしても、それを十分に活用するためには、全部合わせれば高度で習熟も困難で、かつ、高コストになると思います。技術的にもマーケット的にも、自分に本当に必要なものかどうか見極めて、賢く時間やお金をを使って頂きたいなと思います。
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セグメント機能の仕組み、動作仕様の詳細を中心に解説。有料、早割は8/24まで
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■■■■■ 8/3-8/16の投稿記事や情報(カテゴリー別) ■■■■■
独断と偏見ですが、注目記事には末尾に★を付けました
・・・・・ 公式ブログなどGoogle発信情報 ・・・・・
◆ IAB Transparency and Consent Framework v2 and Google Analytics★
Analytics Help(2020/8)
IABのTCF version 2 対応用のタグについて。
https://support.google.com/analytics/answer/10022331
・・・・・ ウェブ媒体/ブログなどの投稿/記事 ・・・・・
◆ Googleアナリティクス/GTMの高度でおすすめのデフォルト設定★
marketechlabo(2020/8/12)
GTMを利用したGoogleアナリティクスの高度な実装例を紹介。
https://www.marketechlabo.com/google-analytics-advanced-customtask/
◆ 【本当に正確なデータとは?】Google アナリティクスのサンプリング、確認方法と回避方法3つ
e-Agency(2020/8/7)
サンプリングが発生しているか確認する方法と、サンプリングされていないデータを確認する方法。
https://googleanalytics360-suite.e-agency.co.jp/tips_sampling/
◆ Did You Know You Can Find Website Bugs Using Google Analytics?
Your Marketing People(2020/8/5)
サイト内リンクのエラーや特定ブラウザでの問題などを、Google アナリティクスで見つける方法。
https://yourmarketingpeople.com/blog/did-you-know-you-can-find-website-bugs-using-google-analytics/
◆ How to Get All Your Ad Data into Google Analytics
CXL(2020/8/5)
Google アナリティクスへ広告データを取り込む方法。
https://cxl.com/blog/ad-data-google-analytics/
◆ [特徴と違い] Googleアナリティクスのビューフィルタ・セグメント・アドバンスフィルタ★
プリンシプル(2020/8/3)
絞り込む機能のビューフィルタ、セグメント、表フィルタの違いについて。
https://www.principle-c.com/column/ga/compare-google-analytics-filters/
・・・・・ 定点観測/注目データ ・・・・・
◆ 2020年8月16日時点のGoogle アナリティクス利用率は74.1%
uehama's blog(2020/8/16)
定点観測の日本の上場企業を対象にした調査。
http://uehama.blogspot.com/2020/08/816-google-analytics-741.html
以上