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春秋社 メールマガジン【Vol.038】
   2022年 5月 2日配信
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 巻頭言!
 禅の語録や公案に出てくるエピソードって、何だか物騒なものが多いのですな。修行僧たちが可愛い子猫に夢中で修行に身が入らないというので、子猫をひっつかまえて斬り殺したのが南泉(「南泉斬猫」)。「何か言っても棒で殴る、何か言わなくても棒で殴る」というのが黄檗(「道い得るも三十棒、道い得ざるも三十棒」)。「仏に逢ったら仏を殺し、父母に逢ったら父母を殺し」というのが臨済(「逢仏殺仏」)。臨済といえば「喝!」も有名ですな。根っからの臆病者の私にとっては、「こりゃたまらん」という感じではあります。趙州和尚の「喫茶去」なんかは、「まあ、お茶でも飲んでいきなされ」と、ちょっとイイ話っぽいですが、その実、京都人の伝説の挨拶「ぶぶ漬けでもどうどすか?」ではないけれど、「顔を洗って出直してこい」という意味だと聞いたこともあって、なかなかキビシイ(真偽不明)。
 ところで、こんな楽しい(?)禅の逸話に出てくる禅僧たちは、大概が中国は唐の時代の人なんだそうですよ。
 こういう禅僧たちの言葉や逸話がまとめられて、公案というかたちで解釈されたり思案されたりして修行の体系のなかにまとめられたのは宋の時代。この時代、禅の制度も確立し、国家機構の一部にもなりましたし、日本の栄西や道元は宋に留学していますから、日本の禅の大元にもなったといえるかもしれませんし、どういうものだったか、わりあいわかりやすい。
 一方、唐の時代の禅は、語録や逸話のわりに、どんなものだったかよくわかっていないらしいんですね。でも、逸話からもわかるとおり、唐の時代の禅僧たちは体全体で禅を生きていて、発する言葉にも、一挙手一投足にも禅のエネルギーが噴きだしている。この魅力的で謎めいた唐代の禅を、宋時代の制度化や体系化の影響をあまり受けていないと思しき、当時に近い資料――『祖堂集』や『景徳伝灯録』――を使って明らかしようというのが、 小川隆先生の 『禅僧たちの生涯――唐代の禅』です。唐時代の禅は、「抽象的な思弁によってではなくて、具象的な日常生活のなかで」「生きられた」禅。親しみやすい筆致なので一般の仏教ファンにも読みやすく、その一方で、唐代の禅の実像の探求はまさに研究の最前線ですから、これはもう読むしかない! とってもオススメです。(K2)
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■目次■
▼webマガジン「web春秋 はるとあき」
▼「じんぶん堂」好評連載中!
▼新刊案内(4月刊行)
▼近刊案内(5月刊行予定)
▼イチオシ重版情報
▼ネット決済はじめました!
▼編集後記
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webマガジン「web春秋 はるとあき」

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●新連載●
人生というクソゲーを遊んで楽しい本当のゲームに変える方法を探る。


小説や哲学書などを縦横無尽に渉猟し、自らの生きづらさに読書を通じて向き合う。


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★「じんぶん堂」好評連載中!★
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出版社と朝日新聞社による、“人文書の魅力発信していくプロジェクト”
「じんぶん堂(powered by 好書好日)では、著者みずから語る刊行書籍紹介や読み物など、魅力的な内容を毎週お届けしています。ぜひご覧ください! ※毎週木曜日更新
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新刊案内(5月刊行)
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四六判/248頁/1,870円
禅宗の老大師の手になる初の本格的な入門書!

●禅僧たちの生涯  ――唐代の禅  小川 隆
四六判/320頁/2,640円
唐代禅僧それぞれの人生からみる、禅の興り。

●生なるコモンズ ――共有可能性の世界  濱田 陽
四六判/336頁/2,970円
人間存在とコモンズの新たな地平。

稀有の芸術家の随筆と漢詩、警世の書。

恩田 侑布子
四六判/272頁/2,530円
分断を超える日本文化論。

四六判/360頁/2,420円
象徴で読み解くリートの世界。

* 今月の営業部イチオシ本 *
四六判/424頁/3,850円
なぜわれわれは芸術表現に
作り手の人生を読み取ろうとするのか
病的なまでに音楽に作曲家の自己のほとばしりを聴き取ろうとする「ベートーヴェン症候群」。19世紀以来、聴取に大きな影響を及ぼしてきたこの“病”の実態を解き明かす。主観と客観――表現と聴取のパラダイムがせめぎあう歴史を俯瞰した刺激的考証。
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近刊案内(5月刊行予定)
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『魔法少女はなぜ変身するのか ――ポップカルチャーのなかの宗教』
石井 研士
四六判/320頁/2,640円
まどか☆マギカら魔法少女の華麗な変身。ラブライブの希など頻出する巫女。アニメ・マンガに溢れる宗教表象とその変遷を丹念にたどり、現代文化と宗教性の絡みあいを解く。
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『一人称単数の哲学 ――ソクラテスのように考える』
八木 雄二
四六判/240頁/3,080円
具体的な場面において個々の主体性を問うソクラテスの「徳」。人称や格変化を分析して言語に表出する理性の働きを抽出、「今・ここ・私」の判断と選択としての倫理を剔出。
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『旅をするということ』
久保田 耕司 著
四六判/304頁/2,420円
ガイドブックや口コミサイトで話題の場所を物見遊山するだけで「旅」と言えるのだろうか。写真家としてインドやタイを旅して回った著者が、旅の本質をめぐる思考の旅へといざなう。
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『現代解釈 明治官製唱歌読本』
ことのは会
A5判/420頁/3,850円
明治期にたくさん創られた唱歌。その文語体にして格調高い各曲の歌詞について、古語・難解語句の解説および大意を記し、適宜註を施す。美しい日本語を後世に遺す貴重な文献。

(※刊行時期は変更となる場合がございます。)
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  イチオシ重版情報 
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四六判/336頁/3,080円
危機の最中にあった20世紀初頭のドイツで、苦境を生きる意味を魂の問題に即して語りかける。生きる意味を問う人への励ましに充ちた講演録。

批評家・若松英輔推薦!
「人は、魂とは何かを知らないまま、日々、魂を生きている。魂という大いなる謎と深くつながる扉が、この一冊に秘められている。」

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◎ ネット決済はじめました!◎
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このたび、小社ウェブサイトでのご注文にクレジットカード決済(ならびにアプリ決済)をご利用いただけるようになりました! サイト上にてご注文から決済まで完結する便利なサービスです。くわしくは 「インターネットからのご注文ガイド」をご確認ください。
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□編集後記□
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 風薫る季節となりました。外神田では色とりどりのツツジが目にも鮮やかな競演を見せてくれています。みなさまのお近くにはいま、どのような花が咲いているでしょうか。

 さてこのたび、2022年度版の小社図書目録ができあがりました。2021年12月までに刊行した書籍と楽譜の書誌情報、加えて全国主要常備店(小社の出版物を常時取り揃えている店舗)一覧を掲載しています。
 ご希望の方には無料で進呈いたします。お電話(営業部TEL 03-3255-9611)または、小社ウェブサイト お問い合わせフォーム よりお申し込みください。(A)

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