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春秋社 メールマガジン【Vol.027】
   2021年 3月 31日配信
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 巻頭言
 このメルマガを読んでくださるような方々には釈迦に説法かもしれませんが、 一般的に禅問答といえば、「何を言っているかさっぱりわからん」というのが通り相場。落語に蒟蒻問答なんて噺もあります。でも、これは言葉で伝えられぬ禅の真理を何とか伝えようと苦心惨憺した証です。 そんな禅問答がやがて雲水たちの修行のための問題としてまとめられ、『無門関』をはじめとする公案集がつくられる。その嚆矢となったのが『碧巌録』。そう、木村太邦老師の『碧巌録』提唱シリーズ第6弾、『碧巌の雲』、いよいよ刊行です。提唱というのは、たんに公案の解釈だけでなく、それ自体がひとつの芸でもあり、提唱の構成、口調、話題などに老師の力量が存分に現れます。木村老師の名調子で禅の深奥を楽しんでみてはいかがでしょうか。
 禅といえば、ベトナムの禅僧ティク・ナット・ハン師の最新作 『沈黙 ――雑音まみれの世界のなかの静寂のちから』も刊行です。最近では日常におけるマインドフルネス瞑想や仏教思想のわかりやすい紹介者として知られる師ですが、1926年生まれの師の前半生は、第二次世界大戦、第一次インドシナ戦争、ベトナム戦争と、つねに戦火とともにありました。政府に弾圧され、友を失い、事務所を破壊されながらも和平を追求し、しかし、ついには亡命を余儀なくされた師は、死と激動と混乱のなかでみずからの仏教を打ち立ててきたのです。本作『沈黙』も日常のなかでの平安と真の幸福を説くものではありますが、戦争中の敵兵との交流や抗議のためみずから焼身した同輩たちのエピソードも顔を出し、どれだけの涙と怒りと絶望が師の微笑みの背後に存在するのかを垣間見せます。その歩みをふりかえりつつ読んでいたただくことができますれば幸甚に存じます。(K2)
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■目次■
▼「じんぶん堂」好評連載中!
▼新刊案内(3月刊行)
▼近刊案内(4月刊行予定)
▼webマガジン「web春秋 はるとあき」
▼編集後

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◎「じんぶん堂」好評連載中!◎
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出版社と朝日新聞社による、“人文書の魅力発信していくプロジェクト”
「じんぶん堂(powered by 好書好日)では、小社刊行書籍のご紹介のほか、魅力的な内容を毎週お届けしています! ※毎週木曜日更新
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新刊案内(3月刊行)
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四六判/240頁/2200円
インドの如来蔵思想の誕生と展開を解説。

A5判/464頁/5000円
総ルビの書き下しに現代語訳を加えて、詳細な注と資料を付す。

●和顔愛語のすすめ
中村 公昭
四六判/208頁/1600円
いま、凜として清々しく生きるために。

四六判/388頁/3000円
神の存在を巡るフロイトとルイスの“対話”。

戦後復興で変化するライフスタイルと宗教。

四六判/736頁/8000円
18世紀の音楽文化を追体験する旅へ。


*今月の営業部イチオシ本*


●ウイルスはささやく

  ――これからの世界を生きるための新ウイルス論

武村 政春

四六判/296頁/2000円


ウイルスは「悪」か、「善」か。それとももっと別の「何か」か――?
生命の定義や進化のメカニズムなど常識の枠組みを覆し続けるウイルスが示唆する生命理解の新時代。最新の知見に基づきあらためて「ウイルスとは何か」を問う。

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近刊案内(4月刊行予定)
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『碧巌の雲』
木村 太邦
四六判/272頁/2200円
禅の代表的な語録『碧巌録』百則を、当代随一の禅僧が提唱。『碧巌の峰』に引き続き、第73則から第83則までを熱く語る。禅の生きざまを求める人々に贈る、必読の書。
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『養生の思想』
西平 直
四六判/224頁/2000円
「養生」とは何か。そこに秘められた「生きる英知」とは。稽古や修行、ホリスティック医学との親縁性をも探り、未来の可能性を展望する、斬新な日本・東洋思想論。
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『シュタイナーの人生論』
高橋 巖
四六判/248頁/2000円
どのような存在も尊い。よるべなき時代をどう生きてゆくべきか。あくまでも人生を肯定し、物質主義の価値観を根底から見直し、畏敬の感情や帰依の念をとりもどす魂の講演集。
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『沈黙 ――雑音まみれの世界のなかの静寂のちから
ティク・ナット・ハン 著   池田 久代
四六判/216頁/2000円
外部の騒音と、心中の想念や感情という雑音に苦悩のつきない現代人。内外の雑音を排除して、真の沈黙を手に入れれば、心の平安に到達できる。その方法をわかりやすく語る。

( ※刊行時期は変更となる場合がございます。)
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☆  webマガジン「web春秋 はるとあき」

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☆好評連載☆
「存在の手ごたえ」 渡仲 幸利
「問うべき手応えを辿る旅の針路を、現在という空間を越えて取ろう。」

「スヴニール  ――とりどりの肖像
佐々木 健一
これまでに出会い、折にふれ思い出される人びととの追想を綴る。


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□編集後記□
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 みなさまの町の桜は、どのような姿を見せている頃でしょうか。今年の桜前線は記録的な早さで列島を北上しているそうです。蕾がひらき、咲き誇り、そして風に舞い散っていく――ほかの植物にもまして、その儚さが人々を惹きつけてやまないのは、出会いと別れの多い季節だからでしょうか。
 毎年、さまざまな分野で「四月から変わる」ものがあります。法律の施行や企業の合併、日用品の値上げ……。今年はとりわけ、企業にとっても消費者にとっても大きな変化があります。それが「総額表示の義務化」です。すでに2004年4月1日より実施されていたものの、消費税の段階的な引き上げに伴い、特別措置法のもと、2021年3月31日までは税別価格の表記が可能でした。自らが支払う金額が一目で分かるのはわかりやすいことではありますが、書籍のように、何十年も同じ本が市場に出る可能性のある商品は“いまの消費税率”で価格を表記することが、必ずしも読者にとって望ましいとは限らないかもしれません。
 例えば、小社刊行の好評70刷のロングセラー 『それでも人生にイエスと言う』は1993年に初版が発売されました。当時の消費税率は3%。仮に当時、総額表示で価格を表記していたとすると、同じ本をいま購入したとき、支払う金額には119円の差が生じます。消費者にとってわかりやすくする意図が、これでは逆にモヤモヤしてしまうのではないでしょうか。今後、消費税率が引き上げられないことを願うばかりです。
 なお、このメールマガジンの表示価格は今号まで、すべて税別価格となっております。ご了承ください。一日も早い新型コロナウイルス感染症の収束と、みなさまのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。(A)
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□春秋社 メールマガジン□ 毎月1回(月末ごろ)配信

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(TEL:03-3255-9611 FAX:03-3253-1384)
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