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音声版はこちら:FM西東京「教えて、なぜ?なに?睡眠先生!(第98回)」
今回のテーマ「睡眠時無呼吸症候群とは」
・睡眠時に無呼吸となると、いったい体に何が起きるのか?
・年代として30代~50代が多いが、若くても年をとってからでも起きる。
・では、どうしてイビキが出るのか?
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橋爪/一般的な睡眠時無呼吸症候群に関する知識というものは、まだまだ広まっていない、そういう感じを受けておりました。もう少し、医学的に詳しく睡眠時無呼吸症候群とは何なのか、お聞きしたいのですが。
高崎/睡眠時無呼吸症候群というのは、名前からもある程度推測できると思いますけれども、寝ている最中に息が止まる、息が止まったことによって、何が起こるかというと、大きく分けると二つあります。一つは何度も何度も無呼吸が起きるたびに覚醒させられてしまう、目が覚めてしまう。ですから眠くなるのが一点と、もう一つは、息が一時的に止まると、その時に酸素を取り込んで炭酸ガスを吐き出すことが一時的に止まりますから、それが最終的には悪さをする。
どういう風な悪さをするかと言うと、基本的には、動脈硬化を促進させるというのが一般的に言われています。心筋梗塞の原因になったり、脳梗塞の原因になったり、それ以外にも、糖尿病を悪化させるとか、尿酸値を上げるとか、種々体の隅々まで悪影響を与えてしまうという病気です。
寝ている最中ですので、なかなかご本人は自覚なさらないので、ほおっておいても大丈夫だと思っていらっしゃるかもしれませんけれども、やはり、周りが気付いたりと言うのがあると思います。最近は、例えばiPhoneとかで、自分の呼吸とかいびきをアプリさせて、それを持って、自分はこうなっているんですけどと相談に来られる患者さんも多いです。だんだん自分でちょっと調べてみようかなと思われる方が多くなってこられました。
橋爪/昔は本当に、まあ良く眠っている証拠だとか、とんでもない事だったんですけれども。やはり寝室が分かれると、なかなか分かりませんね。これは年齢的にとかあるんですか?
高崎/好発年齢は、30代~50代くらいの働き盛りのサラリーマンが典型的で、その年代の人たちが多いけれども、若い人に起こらないかと言うと若い人でも起こるし、年をとってからでも起こるものです。ですから、実際に簡単に検査を受けてみるとか、それでなかったら周りにいる方、奥様が、時にはご主人の寝ている状態をチェックして、それでおかしければ、お医者さんに相談するようご主人に勧めた方が良いかと思います。
橋爪/あとですね、どうしていびきって、音になるんでしょうか?
高崎/基本的には、口蓋といって、喉の奥の方で鼻とちょうど口の道が繋がるところあたりから、もうちょっと下の方ですね、そのあたりが狭くなるので、そこが呼吸のたびに振動すると言うことで、いびきが起こります。
橋爪/そしたら、楽器じゃないですけど、音が出ちゃう。
高崎/そういうことです。
橋爪/じゃあ、先生、気道というところが狭くなって、音が出るということですが、どういう原因で狭くなる、一番何か典型的なものはありますか?
高崎/一番典型的なのは、肥満になってしまうと、喉の気道の径も狭くなってしまう。というのは、粘膜の下にも脂肪がたくさん蓄積するということです。
橋爪/見えませんけれども、脂肪がついていく訳ですね、首のところに。それで狭くなって、空気が通るたび、があ~っと音が出ることになるのですね。寝ている時というのは、引力が働くから、尚更ですね、たぶん、素人考えですけれど。
高崎/寝てしまえば、やっぱり仰向けだと、どうしても舌の付け根が背中側に移動します。すると、気道が狭くなり大きないびきをかく様になっていく、ということが起こります。
橋爪/あ、そうですか。やっぱり肥るということは恐いことですね。肥満というのは、先ず睡眠時無呼吸の原因になるということですね。
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