SASネット常務理事の橋爪あきさん(一般社団法人日本眠育普及協会代表理事)が司会を務めるFM西東京の健康番組「教えて、なぜ?なに?睡眠先生!」に、今回は、一般社団法人日本栄養睡眠改善協会代表理事の村井美月さん(SASネット常務理事)をお迎えし、睡眠と栄養の関係についてインタビューしたお話です。
村井さんはご自身の食事や睡眠など生活習慣の改善を行うことで、心身の不調を改善できた経験をきっかけに、一般社団法人を立ち上げることになりました。今回は睡眠と栄養の関係から、具体的なメニュー、眠りにいい食べ物、食べ方、一方、食事や栄養を疎かにすると睡眠にどのような影響が出るかなど、興味深いお話です。
2021年5~6月に放送された内容から抜粋して、何回かに分けて掲載します。(なお、2019年~2020年のSASネット通信にも、SAS専門医の高崎雄司先生(SASネット最高顧問)のインタビューを6回にわたって掲載しています)
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橋爪/村井先生、よろしくお願い致します。先ず、栄養と言えば、当然食べ物ということですが、眠りに良い食べ物ってあるんでしょうか。
村井/これを食べれば、すぐ眠れるという強力なものは存在しないのですが。
橋爪/それがあるといいんですけれども。
村井/ケールとかとてもいいと言いますけど、すぐに効かせるには大量に食べないとならないといいますね。
橋爪/ケールは何か葉っぱのお野菜ですよね。
(注)ケール:丸みのある濃いグリーンの葉と爽やかな苦味が特徴、キャベツやブロッコリーの原種であるアブラナ科の野菜。日本には江戸時代に伝わったと言われる。野菜の中でも栄養価が高く、含まれるマグネシウムは神経を安定させ自然な眠りを誘うといわれている。
村井/まあ、直ぐ眠れるというものはないんですが、眠りに関与していて不足すると眠りにつけないのではないかというものが、栄養素的にはいろいろあるんですね。例えば、心のビタミンといわれているビタミンB群ですね、B1とかB2とか。特に睡眠ホルモンであるメラトニンの生成や吸収を助けるものがビタミンB12ですね。
橋爪/ビタミンB12が睡眠を誘発してくれるホルモンであるメラトニンの生成とか、また吸収に役立つということですね。
村井/不足するのは良くないということです。魚介類とかレバーとか、動物性の食品にしか含まれていませんので、ベジタリアンの方は本当に不足します。気を付けなければいけないですね。
橋爪/そうですか。最近はお肉なんかもカロリーのことで控えたりする人も多いですけど、やっぱり動物性たんぱく質は必要ですね。
村井/そうですね。それからビタミンのB6、こちらは不足すると、ちょっとイライラしたりとか、不眠になったり、うつなどの精神面に影響すると言われているんですね。更にタンパク質の代謝に関与するために、タンパク質からドーパミンとか、セロトニンとかいろいろな神経伝達物質ができたりするんですけど、その時に活躍するのがB6なんですね。
橋爪/そうですか、やっぱりB6を摂っていないと、ドーパミンでもセロトニンでも、なかなかきちんと作れないと言える訳ですね。
村井/これは、カツオとかマグロとかサンマとか魚系ですね。あとバナナとかにも含まれています。
橋爪/皆さんカツオとかお好きだから、これは摂れそうですね。いいですね。バナナも良いですね。
村井/それから、ビタミンB1は糖質の代謝に関与します。よく夏とかに、朝も麺、昼も麺、夜も麺、とかめんめん生活をしていらっしゃる方は炭水化物系の摂取が多いですから、ビタミンB1がすごく消耗します。そして体がだるくなったり、イライラしたりしてしまいます。学生なら集中力にも介入しますので、B1もちゃんと補う方がいいですね。
橋爪/そうですね、夏なんかは食欲ないからと言ってそうめん食べたり、そんなものばっかりで益々がっつりしたものを食べられなくなってくるから、益々、ビタミン不足になる訳ですね。
村井/B1は、豚肉とか胚芽米とか、玄米にももちろん含まれていますけれども、しっかりと毎日摂りたいですね。そのほか先ほど触れましたが、睡眠ホルモンであるメラトニンそもそもの原料が、タンパク質中に含まれている必須アミノ酸のトリプトファンです。
橋爪/必須アミノ酸、そのなかの一個、トリプトファン。
村井/このトリプトファンを朝に摂っておいて、夜眠る時にメラトニンができているようになると良いのではと言われています。
橋爪/トリプトファンをたくさん摂るにはどんな食事が良いですか。
村井/それは普通にたんぱく源の中に含まれていますので、肉や魚とか大豆製品とか納豆とかでも良いと思います。あと、乳製品ですね。
橋爪/そうですか。では、こういうものを万遍なく摂って、特にビタミンB群に気をつけてお食事するということが、結局は良く眠れるようになるということですね。
村井/そうですね。そのほかチョコレートとかに最近入っているギャバがありますね。(注意:チョコレートにはカフェインが含まれているので、夜は避けて他のもので摂取しましょう)あと、マグネシウムが精神安定とか不眠予防とかには良いといわれています。アーモンドとかゴマとか干しエビなどに入っています。最近話題のグリシンなども良いと言われていますが、これはアミノ酸、干しエビやイカなどに含まれています。
橋爪/和食を普通に摂っていれば、結構ゴマもエビも入っていますね。例えば、ギャバみたいなグリシンは、よくサプリメントでもありますが、そういうものでも大丈夫なんでしょうか。
村井/そうですね、サプリメントでもいいと思います。あと、カルシウムなんかも神経の興奮を鎮めてくれますから、心やすらかに眠るためには、カルシウムも不足しないようにした方が良いですね。
橋爪/カルシウムは日本人の摂取量が少ないと言われていますからね。このあたりも気をつけていきたいですね。そんなところでしょうか、食べ物では。
村井/あとは、最近のコロナ禍で言われているのが、免疫力を高めるためにも腸内環境を整えることが必要ですので、オリゴ糖とか健康食品とか食物繊維にも気を付けられた方が良いと思います。
橋爪/そうですね、腸内環境はとても大事だって言われていますね。何となく栄養でこうしたら良いというものと被っているので、特別なことはないと思うんですけれども、毎日バランスのとれたいい食事を摂ることが、大事ですね。
村井/眠りにも、たくさんの食品を摂ることが大事ですね。
橋爪/とても良いお話しをお聞きしました。次回も引き続き、睡眠と栄養の関係について聞かせて頂きたいと思います。ありがとうございました。 |