頭痛を改善!鍼灸のチカラ

更新日

セルフケア・対処頭が痛い

日本で3000万人が悩むともいわれる頭痛。実は、頭痛薬では治りにくいケースが少なくありません。こうした中、注目されているのが鍼灸治療です。今回、その治療の実際とセルフケアについてご紹介します。

頭痛に悩む女性

難治性の頭痛で注目される「鍼灸治療」

頭痛には、肩こりなどが原因となる緊張型頭痛、頭の神経や血管の異常が原因とされる片頭痛などいつくかのタイプがありますが、意外な落とし穴として「薬の使いすぎによる頭痛(以下MOH)」があると頭痛専門医の五十嵐久佳さんはいいます。月に10日以上(薬の種類によっては、15日以上)頭痛薬を服用してしまうと、薬が効きにくくなり、さらに薬を飲み過ぎてしまう悪循環が生まれ、MOHになるリスクが高まります。一度、MOHになると薬物では治療が難しくなるケースが少なくありません。そこで注目されているのが、非薬物療法である鍼灸治療です。頭痛や慢性痛の診療ガイドラインでも推奨され、医療機関でも標準的な治療に加えて取り入れるケースが増えているといいます。

頭痛専門医の五十嵐久佳さん

脳の機能を改善させる「鍼灸治療」

今回、慢性頭痛に悩む青木優木子さん(仮名)の鍼灸治療を担当したのは、鍼灸師の菊池友和さんです。菊池さんによると、鍼灸治療で期待できる効果は、大きく2つあるといいます。ひとつは、頭痛の引き金となる、肩や首などのコリを和らげる効果です。緊張型頭痛はもちろん、片頭痛の場合でも「体のコリ」は大敵だと言います。そして、もうひとつは脳の働きを改善する効果です。慢性頭痛患者の脳では、多くの場合、「痛みを感じるメカニズム」に異変が生じているといいます。そのため、「過剰に痛みを感じやすくなる=頭痛が慢性化」しているのです。体に鍼(はり)を打つと、その刺激は末梢神経から脊髄を経て脳に届き、痛みを感じる脳の働きを改善させると考えられています。

鍼灸師の菊池友和さん

今回、取材に協力して頂いた青木さんは、主治医の五十嵐久佳さんの勧めで、週2回の鍼灸治療と自宅でのツボのセルフケアを実践しました。治療開始から2週間ほどで頭痛の痛みが和らぐなど、徐々に症状が改善。3か月後の診察では、頭痛の重症度を測定するテスト(HIT-6)の結果でも頭痛の頻度が下がり、生活への支障なども大きく改善したことが分かりました。

鍼灸治療とセルフケア
体調が回復した青木さん(仮名)

頭痛の「ツボ押し」セルフケア

慢性痛の予防や改善には、日常的にツボ押しなどのセルフケアを行うことが効果的だといいます。そこで、今回は明治国際医療大学・教授で鍼灸師の伊藤和憲さんに効果的なツボ押しセルフケアの方法を教えてもらいます。

明治国際医療大学・教授で鍼灸師の伊藤和憲さん

※ツボは、くれぐれも「押しすぎない」よう注意してください

攅竹(さんちく)

攅竹(さんちく)

【ツボの位置】
左右の眉頭にあるくぼんだ部分

【効果】
頭痛だけではなく、目の疲れにも効果が期待できます。
顔のむくみやたるみにも良いとされます。

頭維(ずい)

頭維(ずい)

【ツボの位置】
額の髪の生え際から親指半分ほど入ったところ
生え際がわかりにくい場合は、額の外側のくぼんだ部分

【効果】
慢性痛の人に広く役立つツボ。刺激をすることで、頭全体の血流がよくなります。
集中力を高めたいときにもおすすめ。

天柱(てんちゅう)

天柱(てんちゅう)

【ツボの位置】
後頭部の髪の生え際にあり、中央のくぼみから指1本分外側

【効果】
肩こりや頭痛によく効くツボ。頭痛の原因となる筋肉や神経が通っている場所で、定期的に押すことで頭痛の予防にもなります。

この記事は以下の番組から作成しています。

東洋医学ホントのチカラ

東洋医学ホントのチカラ「心と体を整えるSP」

2023年3月20日(月) 午後7:30~ [総合]

NHKオンデマンド 配信ページはこちら